今日のご飯

 実家に帰るたび「座っているだけでご飯が出てくるのって幸せ」と思う。


 料理が苦手。というよりは、食事が苦手なのかもしれない。どうにも
美味しいとか不味いとかよりも、多いか少ないかとか、食材がお尻に
入るか入らないか、そういうことばかりを考えてしまう。
 だから、私は彼はもちろんのこと、自分すらも自分の料理で満足さ
せられない。


 そんな私の一日の食生活を追ってみたいと思います。


朝食


 低血圧なんて乙女ちっくな欠陥は持っていないものの、早起きが苦
手なので、朝は簡単に済ますことが多いです。特に大好きなコーンフ
レークは、簡単なので毎朝食べています。ちなみに「コーンフレークを
水で浸すと鳥の餌みたいにパサパサして不味い」という話をしてから
というもの、私は牛乳に浸す権利を失ってしまいました。
 なので、大好きなコーンフレーク鳥の餌仕立てを、朝から作ります。
 まず、浣腸器の中に水道水を入れます。昔はおなかを痛めるから
お湯を使ってもいいよ、と言われていたのですが、卒業式で粗相をし
て以来、冬は水道水をそのまま、夏は冷蔵庫で冷やしておいた水道
水を使うことになっています。
 それから、お尻にそれを注入しておいてから、歯を磨いて顔を洗い
ます。このように自分を清潔にしてよくなったのは、大学に入ってか
らです。
 シャワーも浴びてスッキリしたところで、コーンフレークを便器に盛
ります。便器と言っても、一見するとただのお皿ですが、これは私が
小学生の頃から使っている大切な便器です。
 そして、朝一の尿と排便を、普通の人がするように便器にします。
 そうして、水でふやけて味気がなくなった(といっても塩気と苦味は
中々のものですよ)コーンフレークを手やスプーンを使わず食べま
す。もっとも、生まれてこの方食事にスプーンや手を使ったことがな
いので、使わずは語弊があるかもしれません。
 そんな犬のような食べ方じゃ、顔中を尿と便と鳥の餌まみれにする
のでは? という疑問を抱く方がいるかもしれません。ですが、それ
は欧米人が「箸を使って食べる日本人の机は汚いに違いない」という
ような偏見と同じようなものです。箸も一見すると、料理を落としやす
いですが、慣れればそんなことがないように、犬食べも慣れればどう
ってことなく、唇をぬらすだけで鳥の餌をたべれられるのです。
 便の生産性を高めるために結構な量を食べてお腹が一杯になった
ところで、お弁当の準備をします。朝食と違って昼食は毎日違うもの
を食べています。
 今日は梅干とお粥にします。といっても、レトルトなのでお尻に入れ
て梅干で肛門に蓋をするだけのお手軽クッキングですが。手早く浣腸
器にお粥を詰めてお尻に詰めます。
 木曜日は一コマ目からあるので、急がないといけないのです。
 おっと、忘れるところでした。さすがに大学にMy便器を持っていくわ
けにはいかないので、透明の太いチューブを持っていかないといけま
せん。
 チューブを腰に巻いて、食事で乱れた髪をさっと直したら、あとは電
車に乗って、大学に行くだけです。


昼食


 お昼ごはんは、便所飯です。個室に入って、お尻にチューブを挿し
て口でジュルジュルーと吸い上げます。ポイントは梅干を上手く口の
中で転がして、白粥に満遍なく味をつけることです。もっとも、便の苦
味というか、固まった粘土の味が付いているので、気休め程度です
が。
 そうやって、グビグビとお尻から直接お粥を食べます。この食べ方は
私が一般公開されることになった小学校高学年の頃、相手のお尻と自
分の口を繋いだとき、どうしても我慢できずに吐き出してしまい、鼻も口
も塞がれてしまって呼吸ができなくなった事件があったため、それの特
訓として日々の生活に取り入れるようになったのがキッカケです。昔は
自分の手を便器兼食器として利用していたのですが「食事時には迷惑
だ」と同級生たちからもイジメられていたので、この方法になってからす
ごく幸せです。
 とはいうものの、昔は便の塊とお粥や杏仁豆腐とを目で見て判断でき
ていたため、今のように急に便がきて嫌な思いをすることがなかったの
で、一長一短ですね。


夕飯


 夕飯は大好きなオムライスです。
 ですが、低学年の頃「オムライスが好き」と言って以来、オムライスの
日に限って、妹の掃除や一ヶ月間箱詰めなどの嫌な行為をされてきた
ので、今ではあまりいい思い出がありません。
 だけど、フワフワのタマゴで包んだチキンライスの美味しさだけは今も
変わりません。たとえ、タマゴを混ぜるのがお尻の中でも、ケチャップと
ご飯を混ぜるのがお尻の中だとしてもです。
 今日は私が自主的に食事を作れるようになって、二周年の記念すべ
き日です。なので、オムライなのです。
 わくわくしながら、準備をしていると、電話が掛かってきました。この電
話の番号を知っているのは、彼だけなのでとうぜん彼からの電話です。
「今日はオム便を作れ」
「はい」
 小さい頃「不味い」という言葉が折檻の対象になっていた。なので私は、
「美味しくない」と言った。
 その後、一週間ずっと朝昼夕問わず食べていたのが、オム便だった。
作り方は簡単で、といたタマゴをお尻に入れてから、フライパンで焼い
て、形ができたら便を出して、オムライスのようにタマゴで便を包む。そ
れだけの、誰でも簡単にできる料理だ。
 フワフワのタマゴに、硬くて水気がなくなった粘土のような便のミスマ
ッチが酷いというより、私の中の「オムライス」像まで、オム便と同じよう
なモノに思えてきてしまったのが、辛かった。
 そう私はその時初めて、辛いと思った。
 とは言うものの、一週間も食べていれば当然のように慣れてしまった。
今では、フワフワのタマゴの分だけ、鳥の餌や母親と妹の吐瀉物などと
比べて美味しいとすら思えてしまう。
 そういう意味で、この料理は私と彼との間では、一番美味しい料理で
一番満足できる料理なのかもしれません。
 オム便を食べ終えた後、妹の部屋に行きます。彼女に会って初めて
私の一日は終わることができます。
「こんばんは」
「うーうー」
 彼女の唇や舌を使わない独特の発声を聞くと「一日が終わるんだな
あ」とシミジミします。カラスの鳴き声みたいなものでしょうか。
「今日のご飯出すね」
 彼女は四年ほど前、とんでもない失敗をしてしまってから、夕飯は私
の吐瀉物と決められてしまいました。
「今日は口の中に直接出すね」
 本当は彼女にも専用の便器兼食器があるのですが、自分の吐瀉物を
見るのは嫌なので、直接口に入れてあげることします。決して、彼女がむ
せて呼吸困難になって死ねばいい、なんて思っていません。私が自分
の吐瀉物を見るのが嫌なように、彼女も私の吐瀉物を目で見て食べるの
は嫌だろう、と思った親切心です。
 吐き出すと、彼女は必死に鼻で呼吸しながら、少しずつ少しずつ嚥下
していきます。口を閉じれないので、結局私は私の吐瀉物を見てしまい
ました。彼女は見ていないのに、不公平です。それに、予想以上に量が
多かったので、彼女の周りが汚れてしまいました。これをキレイにするの
はおそらく、月に一度の妹の掃除をする私の役目でしょう。全く不愉快で
す。ですが、こうして私がお粥や便を食べれているのに、彼女は私が食
べたお粥や便しか食べられないのは、切ないです。


 かわいそうですが、これが彼女の今日のご飯であり、私の今日のご飯なのです。



今日のご飯

http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1171558980/l50
に書き込みしたものと同じ内容です。
名前欄の削除や行間の調節などの細かい変更を加えていますが、大体原文のままです。
本当は改行をちゃんと調整したかったんですが、面倒なので止めました。