2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

終末のフール:伊坂幸太郎

ミステリではなくまっとうな短編連作小説。ベストはドミノ倒しな伏線回収が面白かった演劇のオール。 人類が終末を迎えるというテーマの日常物は幾つか類例があるが、個人的には終末の過ごし方をオススメしておきたい。あっそうえば蠅声の王2を結局崩せない…

夜想:貫井徳郎

ミステリよりは大きく小説に偏った、長編小説。新興宗教を題材にしており、宗教を題材にした傑作「神のふたつの貌」とも関連付けて考えさせられる作品。 名探偵という人が人を救うガジェットを持つ本格ミステリ*1をバッサリと切り捨てるように、人が人を救う…

聯愁殺:西澤保彦

いわゆる毒入りチョコレート事件物の長編ミステリ。西澤保彦ミステリ最大の魅力は、徹底した議論にある。タック&タカチしかり、チョーモンインしかり、単発SFしかり。 その議論だけで構成されたミステリが面白くないわけがない! と意気込んで読んだのだが…

永遠の館の殺人:黒田研二 二階堂黎人

二階堂くろけんの合作シリーズ第三長編となる、本格ミステリ。前作までのロジックにもサプライズにも寄った構成ではなく、完全にサプライズ一辺倒。 肝心のサプライズに関しても、どうしても森博嗣や石崎幸二らの似たようなトリックと比べると一歩劣る感があ…

KILLER X :黒田研二 二階堂黎人

二階堂くろけんの合作シリーズ第一長編となる、本格ミステリ。数年前に二巻を二巻だと知らずに読んでいたので、犯人は大凡想像できてしまった。 とはいえ、フーダニットが主題ではないので、非常に楽しめた。特に叙述トリックだとミスリードさせるというトリ…

モノレールねこ:加納朋子

ミステリではなくて、小説の短編集。いちばん初めにあった海以来の、ミステリ要素無しの加納朋子小説が味わえる。 家族愛を描いた作品が多く、ポトスの樹やパズルの中の犬は家族愛ってだけで涙する僕には、もう感動を通り越して拍手しながら読み終えた。 ベ…

堂場警部補の挑戦:蒼井上鷹

物語自体に仕掛けがある、ミステリ連作短編集。本格というよりは変格やメタミステリより。 連作短編集としての仕掛けに関しては評価のしようがない。このトリックのために、他の短編の出来が悪くても良いわけではないし。そもそも、トリックとしてただの作中…

コロぱたプレイ日記「おつかい45〜おつかい56」

ずいぶんと間があいてしまった。 理由は「おつかい51」に二ヶ月以上かかってしまったからだ。 本当に051は難易度の高い問題だった…… というわけで、再開。 再開にともない、攻略wikiや攻略動画が充実しているので 解法を載せるのはやめることにする。書くの…

風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ スタッフ

※フォントが非常に読み辛いため、間違いがあります。読み方がわかる方がいれば、コメント欄にお願いします。 ※特に”※”がついてる方のお名前は間違っている可能性が高いです。 ※シレン4 スタッフロール http://www.nicovideo.jp/watch/sm9917447 より文字起こ…

サイン会はいかが?:大崎梢

本屋を舞台にした短編集。ミステリよりキャラクタ小説によった構成が見所。 知識トリックや意外な真実ばかりで、本格要素が薄かったこともあり、よりいっそうキャラクタ小説として読めた。 ミステリ界に百合展開は数あれど、ハッピーエンドを迎えた作品は非…

池袋ウエストゲートパーク:石田衣良

池袋を舞台にした青春小説の短編集。裏表紙の解説にはミステリ、とあるがどちらかと言えばサスペンスに近い。 意外な犯人物と言えなくもないが、やっぱりサスペンスというかクライムノベルっぽい、疾走感が魅力。 たまたま「俺たちに翼はない」の三編目をプ…

模造人格:北川歩実

二転三転、というよりは七転八倒な感じの長編サスペンス。思わず「いいから人の話きけよ!」とか「いやだから、どっちも証拠ないだろ!?」とツッコミたくなるぐらい、議論が議論になっていなかった。 ここ最近「本格度合いとは議論の量の多寡である」みたい…

逆説探偵 13人の申し分なき重罪人:鳥飼否宇

代わる代わるさまざまな犯罪を扱う、ミステリ短編集。徹底してミステリ要素をこれでもかと詰め込んでいるのが印象的。 短いページ数の中で、二転三転四転ぐらいしちゃう真相の転がし方のせいで、物凄いボリューム感がある。 バカミス寄りの展開も多く、濃厚…

七度狐:大倉崇裕

落語を題材にした長編ミステリ。見立てに意外な犯人にとミステリ要素は多いものの、あまりに小説に寄りすぎている。 分類としてはフーダニットを重視してるのだとは思うけれど、今ひとつ本格らしさに欠けていて、サスペンスや小説の方を強く感じる。 前作の…

探偵小説のためのエチュード「水剋火」:古野まほろ

キャラクタ小説のようでいて、しっかりと本格の文法にそっている長編本格ミステリ。 作中で揶揄されている物理トリックも、トリック自体はベタであるものの、探偵の解法や二段仕掛けのトリック、伏線のさりげなさを考えれば、クオリティは十分高い。 ただ、…

霧の迷宮から君を救い出すために:黒田研二

良い意味でも悪い意味でもバカミスっぽい、長編ミステリ。 丁寧な伏線や、密室トリックと独自設定が結びついた解明へのロジックなど、本格らしさが面白い。 それ以上にタイトルである「霧の迷宮から君を救い出すために」のアンサーがすばらしく小説している。…

ANOS1 あの、素晴らしい  をもう一度/再装版だってさ

これでようやく、ANOS6のレビューが書ける! だってあれどう考えても、ANOS1やってないと書けないよ! というわけで、二年ぶりぐらいにANOSカテゴリのレビューやらなにやらを書いていこうと思います。

ホームランド スタッフ

ホームランドの説明書より引用しました。 ディレクター まるた こうじ シナリオ いなば ひろたか たなか えみこ かとうまさと ひの たかし イラストデザイン ありさわ よしひろ おんがく まつお はやと プログラム ふくざわ ただし おおまつ しょうじ おおの…

9時間9人9の扉オルタナ 下:黒田研二

チュンソフト原作のゲームのノベライズ。原作に少し手を加えて、すっきりさせた印象。 原作は大掛かりな叙述トリックに加えて、多くの謎が残る展開だったが、小説版では必要最低限のガジェットでまとめられてる。 そのせいで、ミステリ要素と呼べるものがフ…

CANAAN 上下 :杉原智則

チュンソフトの428を原作とした後日談CANAAN、のノベライズ。という何だかヤヤコシイ位置にいる作品。 アニメ版CANAANで言葉足らずだった『「428」と「CANAAN」でマリアはどう変化したのか?』というのが、地の文でしっかりと描写されており、428の主役はマ…

風来のシレン 4コママンガ集 笑いのツボ

風来のシレンSFCとGB1を題材にした、4コママンガ集。 チュンソフト関連書籍ではお馴染みのしりあがり寿さんから、今では売れっ子のあずまきよひこさんやら、色々な人が参加しているアンソロージー。 中でも注目したいのが、トリック×ロジックに参加する綾辻…

チャット隠れ鬼:山口雅也

題名の通りチャットを題材にした、長編ミステリ。 ミステリ、というよりはサスペンスのノリで、キッドピストルズやお見合いシリーズとは違いミステリ要素は薄い。 トリックも、ベタな知識トリックではあるものの、伏線がしっかりしていて旨く題材を処理して…

絶園のテンペスト 一巻:原作:城平京 構成:左有秀 作画:彩崎廉

スパイラル、アライブ、十字界に続く四作目となる城平京漫画原作の第一巻。 純粋なミステリというよりは、十字界のような終わってみるとミステリだったなあ、って感じのストーリーの予感。 名探偵に薔薇をの名探偵、スパイラルの神、十字界のヴァンパイアの…