探偵小説のためのエチュード「水剋火」:古野まほろ

キャラクタ小説のようでいて、しっかりと本格の文法にそっている長編本格ミステリ
作中で揶揄されている物理トリックも、トリック自体はベタであるものの、探偵の解法や二段仕掛けのトリック、伏線のさりげなさを考えれば、クオリティは十分高い。
ただ、どうしようもない軽さがあるのは否定しきれない。思うにそれは、解法に至るまでの議論が欠落してるからじゃないかな。古今名探偵は、基本的に黙ってるものだけど、この作品ほど最後で一気に解決するのはさすがに詰め込みすぎに感じる。
あと、途中で唐突に台本みたいになるのは、まったく理解できなかった。何かの文学的意味か、ミステリ的な伏線だったのか、はたまた小説的実験だったのか、何がなにやらさっぱりーすっぱりーハリーポッタリーだった。*1

*1:文体を真似してみたよ!