2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

黒田研二:ペルソナ探偵 四点(五点満点)

短編連作としても短編としても読み応えのある作品。 特に一作目の電気のスイッチを巡る法月ばりの地を這う理詰めが素晴らしい。 そのような、地味な論理だけでなく、最終章から始まるサプライズの連続も見事。 サプライズ一発勝負な作品とは一線を画す、本格…

横山秀夫:囚人のジレンマ(「第三の時効」収録) 五点(五点満点)

警察を舞台にした本格ミステリ。 社会派としての側面もあるかもしれないが、むしろ個人的な感情*1を描いた小説。 特に今作は法月綸太郎がふたたび赤い悪夢で指摘した「砂漠」に関する描写が秀逸。 小説的なテーマとしての後期クイーン問題との関連を考えるこ…

芦原すなお:雪のマズルカ 三点(五点満点)

女探偵ハードボイルド物。 死別した夫婦という設定を「月夜の晩に火事がいて」から引き継いでおり、小説として読み比べておきたい。 謎解きの論理や謎解きの過程(サスペンス)などではなく、一種のキャラクター小説として評価した。 テーマ面は苦々しくやる…

学生有栖読み返し週間にしよう

さすがに今年発売の作品を一つも読まないまま終わるのもどうかと思いたつ。 女王国を買ってきたのですが、いきなり読み始めるのはもったいないから、学生シリーズ読み返すことに。 ゆっくりちゃんと、読者への挑戦状にも答えるぐらいの勢いで読もう。 今年発…

佐竹彬:三辺は祝祭的色彩 二点(五点満点)

SFミステリのシリーズ第二作目。*1 ミスリードがよく効いていているが、ポエミィな文体のせいで叙述なのかミスリードに引っかかったのか、それともただ単に読み込みが足りなかったのかがわかりにくい。 肝心のミステリは前回同様シンプルな出来で好感が持て…

浦賀和宏:記憶の果て 三点(五点満点)

SF設定を使ったメフィスト賞らしい作品。 作品単体としては青春ミステリとしての出来もよく、面白い。 だが、作品単体としてでなく長いシリーズ作品の始まりとして評価したい。 後のシリーズに連なる設定を、単体の作品としての意味を見失わない程度にちりば…

泡坂妻夫:11枚のトランプ 五点(五点満点)

作中作物の定番。 メタや叙述などを使わなくても、作中作がミステリの題材に出来ることがよくわかる作品。 あくまで、王道な地に足をついた本格ミステリである。 作中作自体も短編として成り立っており、作中作物として必要なものが全部揃っている。

内村かなめの「もっと!委員長」の単行本の発売決定だってさ

あーテンションがあがってきた。 好きな作品が単行本になると、雑誌を一年以上買ってきたかいがあるってもんですね。 思わず一迅社にお布施がてらパトレイバーの資料集を買ってしまうぐらい、テンションがあがってます。 (ゆうきまさみもパトレイバーも好き…

佐竹彬:飾られた記号―The Last Object 一点(五点満点)

ラノベ調SFミステリ。 ミステリとしてアンフェアだとは思わないし、森博嗣をオマージュしたとあとがきで語っている文体も悪くはない。 だからといって、小説として何の起伏もない展開や、論理のアクロバティックも何一つなく、かといって有栖川や法月ばりの…

森博嗣:四季 秋 五点(五点満点)

シリーズミステリの最高傑作。 厳密には赤緑黒白で判明する、SMシリーズVシリーズを通しての叙述トリックは圧巻。 Vシリーズ単発での評価を吹き飛ばす作品。 森博嗣はこの作品までは読んでおきたい。

うつだしのう

ってフレーズを一回口に出すと、ますます落ち込む。 落ち込みついでにそれこそ死にたくなってくるわけだけど。 なんていうか、ぬるく生きてていいのかなあ、とか思う。 このブログで書評書いて、時々エロギャルゲの考察書いて、たまにブクマされて少しアクセ…

ゆうきまさみ:40年の決算 三点(五点満点)

ミステリ、というよりはサスペンスに分類される短編漫画。 シリーズキャラ菅道真が出演する数少ない作品。 カットバックから想像される展開を裏切るオチの鋭さは、絵日記漫画的な部分とは真逆を行っているように思える。 彼の掲げる「なにがなんでも16枚」の…

谺健二:未明の悪夢 五点(五点満点)

社会派であり、ミステリであり、本格であり、小説である。 震災という側面から神戸という都市に切り込んでおり、それがミステリのトリックとも関連付けられており完成度が高い。 だが、ハウダニットとは関連付けられているのに、ホワイダニットと関連付けら…

嫌いな作家がいて駄目だって道理はないでしょ、岡倉さん……

貴志祐介と王雀孫が嫌い、というか苦手。 なのでこの二人の感想には、ある程度補正がかかっていると思ってください。 どこが苦手で嫌いなのかを説明することはできないので納得してください。

黒田研二:嘘つきパズル 四点(五点満点)

SFパズラーの傑作! と断言しても言いぐらいの作品。 難点はSFルールがあかされるの遅すぎること。 謎解きの段になってから公開するのは、フェアじゃあないと思う。 もちろん、読者への挑戦状が挟まれているわけでもないので、そこまで気にせず一点引くだけ…

乾くるみ:マリオネット症候群 二点(五点満点)

SFとミステリの融合、かと思いきやただのSF調ライトノベル。 西澤保彦ばりのルールが示されたところで、何ららかのそれを利用した謎が仕掛けられることもなく。 そのルールを小説的、というかショートショートのように利用している。 要するにショートショー…

自分用メモ(GBA) 晴れシングルPT用晴らし役案状態異常編

ダブルなら テングの猫騙しがあるので、あんまり考えなくてもいいかな。 はじめに ナッシーとワタッコは信念から使わないので除外。 A.眠り型 a.さいみんじゅつ GBAのためさいみんじゅつはバクチ。 当たればこっちのペースだけど、運ゲーはなあ。 1.キュウコ…

山田正紀:神曲法廷 五点(五点満点)

社会派や本格という区分から大きく外れた作品。 「神」という概念をミステリ的に導入している。 一見パズラーへの挑戦や、後期クイーン問題への取り組みにも見える。 しかし、そこにとどまらない小説的魅力もあり、山田正紀の懐の広さが窺える。

日向まさみち:本格推理委員会 三点(五点満点)

萌えを利用した叙述トリックが見事。 人物誤認というオーソドックスな叙述が、萌えで味付けされるとここまでわかりにくくなるのは衝撃。 メインとなるトリックもオーソドックスながらしっかりしている。 萌えとミステリの融合というとオオゲサだが、この叙述…

どうしてリトルバスターズでBOYS DON'T CRY〜ボーカルVer〜が流れないのか

AIRで銀色→青空。 クラナドで渚→坂の下の別れ→小さな手のひら。 というBGM演出があったため、リトバスで当然何かあるな、という予測はできたと思う。 (遥か彼方 〜instrumental〜→遥か彼方 はサウンドリストを見れば一目瞭然だったけどさ) AIR方式(決め曲…

柄刀一:3000年の密室 五点(五点満点)

科学と本格の融合を果たした二十一世紀本格のはしり。 後の龍之介シリーズなどの、科学ネタをただトリックにしてミステリ仕立てにしたクイズ小説*1とは一味違うデビュー作。 現代の事件と過去の事件が交錯する歴史ミステリの典型でありながら、その解決が科…

谷川流:学校を出よう!6 VAMPIRE SYNDROME 三点(五点満点)

対メタ存在物の傑作。*1 同作家の涼宮ハルヒの分裂でも軽く触られている、メタフィクションを利用した作品。 九十九十九と比べてわかりやすく、シリーズ物をいかした展開もある。 だが、ミステリとしてはアンフェアというか、そもそも論理的解決にとどまらな…

新井輝:少女がくれた木曜日 二点(五点満点)

一点はシリーズ三作目のためにとっておきました。 ループ物ミステリにだってハズレはある、ということを教えてくれる作品。 いわゆる青春ミステリに分類されるのだが、シリーズを通して青春の部分を小説することが多い。 その青春部分とミステリが密接な関係…

関田涙:蜜の森の凍える女神 三点(五点満点)

タイトルの上手さで一点追加してあります。 そんな褒めどころが難しい、メフィストの中ではオーソドックス派の作品。 氷川透や霧舎と比べると地味な作風だが、文学や自己批判に逃げる他のメフィスト作家と比べてミステリはしている。 非常に私事で申し訳ない…

自分用メモ(GBA)

タネボー3V育成指針 シングル3対3で、晴れPTを使うこと自体が微妙なのはわかってるんだけど、やめられない。 ダブルの布教を積極的にしていきたい。 そもそもの想定している型。 シングル ○先発晴れ役 にほんばれ だいばくはつ 必須個体値は耐久、すばやさは…

会社勤めはおそらくむいてない

うざい、自分で言うな。 ワタッコとナッシーが次回作では葉緑素が消えたらいいのにな! が合言葉のたつきです。 長靴をはいたデコを買おうと名古屋に行って、気づいたらポケモンXDを買っていました。 ポケモン面白いなあ、ダーテング可愛いなあ。 そんなわけ…

松尾由美:安楽椅子探偵アーチー 三点(五点満点)

奇抜な設定が面白い安楽椅子探偵物。 特に注目したいのが、奇抜な設定である探偵が「安楽椅子」という設定が、上手く謎解きに結びついている点。 いわゆる文芸設定ではなくミステリ的ガジェットとして探偵を「安楽椅子」にしておきながら、最後には小説とし…

貴志祐介:青の炎 一点(五点満点)

倒叙物と青春小説を掛け合わせた作品。 西澤保彦の黄金色の祈りに似た構造で、思春期独特の痛々しさを描いている。 あくまでミステリではなく小説であり、倒叙物のスタイルをとったただの青春小説。 青春小説とミステリの相性がいいだけに(さらに倒叙物であ…

鮎川哲也:太鼓叩きはなぜ笑う 五点(五点満点)

これこそが本格ミステリ。 本格の定義は人それぞれ色々な考え方があると思いますが、自分としてはこの作品が根底にあります。 安楽椅子探偵、トリックよりロジック、アリバイ物、本格の典型が詰まっている名作。 特に定型が定型のままでなく、最後から二番目…

長靴を履いたデコをやる予定なので

来週は四行ミステリ感想が無いかもしれません。 あるかも。 個人的に、もっとも面白い恋愛小説は 岡嶋二人盛衰記だと思う。 まあ恋愛小説なんて読んだこと録にないんですがね。