谺健二:未明の悪夢 五点(五点満点)

社会派であり、ミステリであり、本格であり、小説である。
震災という側面から神戸という都市に切り込んでおり、それがミステリのトリックとも関連付けられており完成度が高い。
だが、ハウダニットとは関連付けられているのに、ホワイダニットと関連付けられていないのは、意図したものなのだろうか?
もちろん、個人的な復讐と震災が関係ないからこそ「わずか数人の死にこだわる意味があるのだ。」という文章に意味が出てくるのだけれど、少し違和感を覚えた。