永遠の館の殺人：黒田研二 二階堂黎人

二階堂くろけんの合作シリーズ第三長編となる、本格ミステリ。前作までのロジックにもサプライズにも寄った構成ではなく、完全にサプライズ一辺倒。
肝心のサプライズに関しても、どうしても森博嗣や石崎幸二らの似たようなトリックと比べると一歩劣る感がある。類例を読んだことがなければ別だけど、読んだことがあるとどうしても評価しにくい。
小説部分であるジェンダーやセクシャリティの問題に関しても、今一つ手が足りなくて物足りない。二巻三巻と女性ばかりを狙った心理をもう少し丁寧に描いてほしかった。
シリーズ完結編としては、ミステリとしても小説としても惜しい作品だった。もっとシリーズであることを生かしたり、サプライズ一辺倒ではない作品がよかったなあ。