若竹七海:製造迷夢 四点(五点満点)

この作品はホワイダニットによっており、それがミステリ的魅力とは別に小説としての魅力にも繋がっている。
というと、日本の超能力ミステリの代表作チョーモンインシリーズとの関連を考えてしまう。
チョーモンインシリーズが「ホワイダニット」から人の悪意や小説的魅力を描くだけにとどまっているのに対し、主人公とヒロインの関係との対比として描かれている点に面白い。
恋愛小説の延長線上にミステリがあるという構図が「トリックありき、ロジックありき」という本格ミステリと対を成していると思う。