2010年ミステリ界五大事件

第5位「うみねこのなく頃に完結」

年越しプレイ中の方々が大勢いるであろう、うみねこ
四年にわたる六軒島を巡るミステリもついに完結。
筆者は残念ながら地方通販組みのため、プレイできるのは二日辺りになりそう。
Ep7で語られたあのキャラの解答の裏に隠された、真の解答とは? という話題は2010年の締めくくりと2011年の幕開けに相応しい事件だ。

第4位「ANOS7発表」

ANOS5を飛ばしてのANOS6およびANOS4の発売から、三年。
ANOS7は奇数ナンバーお馴染みの異世界編であることが発表された。
ANOS1やANOS3、そしてANOS6で活躍した”あの”キャラたちが、早くも体験版で登場しており
ANOS6以上にシリーズを意識した作品になっている模様。

第3位「米澤穂信小市民シリーズ『冬期限定こたつでミカン』発売」

まさかのスイーツ縛りから、こたつでミカン、という謎のサブタイトルを冠した、
小市民シリーズの完結編にして、真の開幕編。
シリーズ全体に仕掛けられたトリックはもちろんだが、それ以上に「小説家米澤穂信」としての実力を
ボトルネック以上に色濃く映し出した、まさに名作だった。
00年代生まれミステリを代表するこのシリーズの健在ぶりが、存分に発揮された素晴らしい出来。

第2位「貫井徳郎エッセイ本出版」

もっともミステリらしからぬ事件といえば、これだろう。
”あの”貫井徳郎が書いたエッセイが、こんなにもラブラブチュチュな内容だと誰が予想しただろうか?
稀代の恋愛エッセイ「おかしな二人岡嶋二人盛衰記」以上に、作者の人を愛する気持ちが伝わってくるエッセイだった。
何より”あの”貫井徳郎がというギャップが何よりもトリックとして抜群に機能していて、
なんだか彼の著作の印象すらもガラっと変わってしまった。


第1位「城平京完全新作長編小説、各種賞総なめ!」

このミスやら本ミスやら何やら……
もう賞を羅列するだけで、ページが埋まるほどの賞を受賞した城平京の完全新作長編小説。
名探偵に薔薇をから十数年、漫画原作として鍛えられた「編集者のわがままを許す心」が、まさにこの小説のクオリティを支えているのだろう。
右往左往する展開に、あまりに無茶なロジック。
そしてそれらを、強引なようでその実優しく包み込む物語。
これこそが、真のミステリだ! と強く感じさせる出来だった。

まとめ

所謂80年代後半〜90年代に活躍された新本格一派の方々よりも
石持浅海坂木司久住四季道尾秀介など00年代から活躍を始めた作家たちの活躍が目立つ年だった。
館シリーズや学生アリスシリーズやタック&タカチシリーズなど、新本格のシリーズが出ない出ないと愚痴を言う時代が終わり
新たに幕を開けたシリーズたちへの期待で胸が一杯な時代を象徴するような、新しい息吹を感じさせる年だった。


というわけで、2011年もよろしくおねがいします。