四月は霧の00密室:霧舎巧

小説の外に仕掛けられたトリックが見所の霧舎学園シリーズの第一長編にあたる、本格ミステリ
六月や八月のような大掛かりなトリックではなく、初回だけに普通のミステリでもありそうなトリック。
ただ、フーダニットに関するロジックは丁寧で、純粋に本格ミステリとして上々の面白さだった。
最大の読みどころは、作者の熱い新本格への愛が伝わってくるあとがき。法月や綾辻が悩んでいたことを、あっけらかんと肯定してしまう霧舎巧の姿勢は、良い意味でも悪い意味でもミステリへの愛が伝わってくる。