繭の夏:佐々木俊介

スリーピングマーダーと青春小説のあわせ技が見事な長編ミステリ。
海外物にめっぽう弱いため「スリーピングマーダー」というジャンルをはじめて知った。類例もぱっと思い浮かばない。貫井の追憶のかけらかなあ。*1
小説としては上手にはまっているが、ミステリとしては伏線が弱く感じた。トリック自体は大掛かりで面白いだけに、もう少し伏線なり文量なりが欲しかった。
青春小説の部分は、回想の殺人と抜群にマッチしていて、ミステリと小説の融合の正しい答えの一つと言っても言いすぎじゃないぐらい。

*1:鋼鉄番町の密室はスリーピングマーダーというよりは、歴史物な印象