僕の作った世界構造系ミステリ という名のザ・サード感想

前置き

ハルヒは、セカイ系らしく設定を固めていません。
長門の力の全容も、みくるの時間移動による改変の内容も、鶴屋さんの手元にあるアレも、古泉×キョンの可能性も
そしてなにより、ハルヒの力についても、ここからどうとでも変化できるように話が展開してきています。


さて、A-Dic常識以外を使ったミステリ作品では、設定を固める必要があります。
セカイは殺せても妹に巣食う力は殺せないと明記する必要があるし
主人公とラスボスが相性差で有利になるなら固有結界によるコピーにマイナス補正がかかるのってどうよ? とか
バゼットとランサーが戦うなら、ゲイボルクVSアヴァロンぐらい前置きとしてやっておいても損はないと思うんだけど とか
竜も口の中は無防備ってなんだよ とか
水の存在を忘れさせるのは面白いけど、ないことを伏線にするのって汚くない? ただの省略かと思われるわけでさ
与えられていた血を返すことで、能力の底上げをはかるって、能力を数値化するなりなんなりしないとわかんないよ とか


とまあ、特殊な世界観によるハウダニットは面白いわりにフェアプレイ精神に欠ける面があります。
だからホワイダニット西澤保彦は傾いてるんだね、きっと。


さて、そもそも世界構造系ミステリとセカイ系を分けるもっともわかりやすいな点が、読者への挑戦状があるかないか、です。
帯も本も一部、と読子さんが言っているように、パッケージ外でもいいので、挑戦状を叩き付けることが大切だと思います。


僕はハルヒにそれを期待しているのです。


なぜって言われても、僕が読んでるライトノベルのシリーズがハルヒブギーポップだけだからですよ。
(ミステリ云々抜きでってことね、トリスタ読んでるし)
大した意味はないです、ただそれだけのことです。
しいて言うなら、谷川流がミステリ力(なにそれ?)のある作家だと聞いた覚えがあるからかな。
フェアプレイと明確な解答が用意されたエヴァを読みたくなった、ってことです。

前置きその二


セカイ系は設定をぼかす事によって、読者の興味を世界構造に向けさせていますが、その推理に対する解答を用意しない。
ミステリという遊戯性の高いルールがしっかりしている(ように見える)小説の奇特さを強調したくなったので
こんな文章を書いてみました。
うん、でも正直無理あったね、ごめん。
実のところ「世界構造系……セカイ系と似てるから比べてみよう、違いとか意味とかは後付で考えよう」という精神の元に書かれているので、大した意味はないです、ただそれだけのことです。


そう、ただそれだけのこと。
ザ・サードのアニメが26話もあって嬉しいから、こんなオチだったことも、ただそれだけのこと。
ラノベのシリーズはブギーとハルヒしか読んでないじゃないのかよ、というツッコミも、ただそれだけのこと。
だいたい、文中にRODの話が出てるし、でもそれもまた、ただそれだけのこと。
論理的っていうより、フェアプレイ精神って言った方がいいかもしれないけど、ただそれだけのこと。



こうやって書いてても、いまいち世界構造系ミステリの前例が思いつかないのも、ただそれだけのこと。


っていうかさ、ひぐらしを世界構造系ミステリだと考えるから駄目なんじゃないかな。
じゃああれは何だよ、って言われても困るけどさ。
大体さ、世界って「誰」かが「動機」を持って何かを「する」のが折り重なって出来てるわけでさ(くさ!
世界構造系ミステリなんて言っても、所詮はフーダニットサバイバルの中で生まれたただの入り組んだミステリだったんだとしても


ただそれだけのことだとしても、そうはいかない。
というわけで、具体例を自分で作ってみた。

本編 僕の考える世界構造系ミステリ『幼女×オタク 〜責められるのって快感!?〜』

本の裏表紙に書いてあるやつ

 平凡な僕らの町にある噂が話題になっている。
 もちろん、話題になるから噂なのであって、それは至極当然なことなんだけれど。
 その噂とは「全裸幼女がオタクのうんこを食べ始める」というものだ。
 僕ら海豚学園新聞部はその噂の真実を追い求め、今日もアニメイトに向かう。

システム

 作品は
 新聞部部長   『山田上田』
 エロゲライター 『丸井コケシ』
 エロゲオタク  『YOU・キマサ・身』
 幼稚園児ソープ嬢『粗い童貞(源氏名)』
 の四人の視点から描かれる。

内容

 新聞部パートでは『全裸幼女』が03年の02-28、11-28 04年の04-28、12-28 05年の04-28、12-09に出没したことが判明する。
 エロゲライターパートでは丸井コケシが、03年から毎年二本のエロゲを執筆することが断片的に描かれる。
 エロゲオタクパートでは03年から05年までのエロゲ批評会を行う姿が描かれる。
 ここで読者への挑戦状挿入。
 そして、完結編幼稚園児ソープ嬢パートで、真実が明らかになる。

オチ

 全裸幼女は未来の世界から来た薬品会社マリエリの薬の副作用により、体の成長が止まってしまった28歳の女性だった。
 彼女は、オタクのゆがんだ妄想によりそんな姿になったことの復讐を行った。
 そのために、ロリコンゲームの生みの親丸井コケシのゲームをプレイしようとするオタクを過去に戻り叩きのめしていったのだ。
 なお、未来の世界ではウンコを食べられることは、最大級の侮辱なのである。
 ところがそれは、私立探偵『メールか? ルートAYU』による、おとり捜査でもあった。
 だがしかし、それはメールか? ルートAYUの遺産を狙った嘘の情報だった。
 そう、それは『海苔付き弁当師匠』による『メールか? ルートAYU』への最後の試練だったのだ。
 のはずが、それすらも全ては神である『ナール 神酒酔ったか?』の手のひらに踊っていたに過ぎない。
 小さな手でもいつの日か僕ら追い越していく強さ。
 いけ、まけるな僕らのコウガマン、明日の未来は君たちの手のひらに……
「俺たちはこの長い長いコミケ行列に並び始めたばかりだからよ!」
  『幼女×オタク 〜責められるのって快感!?〜』
             完

つまり?

 このミステリの肝は、全裸幼女の登場と、丸井コケシの作品の発表が重なっている。
 ということです。
 いや、短絡的なのはわかってるよ、あくまで例だからね例。
 

 全裸幼女が未だ生まれてもいない、新聞部部長の妹だとか、その親は自分の親友だとかの、フーダニットはどうでもいいのです。
 どうやって、全裸のままエロゲ売り場まで入ってきたのか、監視カメラに写っていないのかそれはタイムスリップだから、なんてハウダニットはどうでもいいのです。
 全裸幼女がなぜ、オタクのうんこを食べるのか、もどうでもいいのです。


 『メールか? ルートAYU』とか、『海苔付き弁当師匠』とか、『ナール 神酒酔ったか?』とか、コウガマンはどうでもいいのです。


 全裸幼女の登場と、丸井コケシの作品の発表が重なっている。
 という一点にミステリの面白さが詰まっているのです(詰まってないのは気にしないで)
 
 
 ここが、ひぐらしで言うところの、梨花が死ぬと大災害が起こる、という点です。
 GPM23で言うところの、黒い月は願いかなえない、GPMは介入していない、という点です。

世界構造系ミステリとは?

さあ、僕自身で世界構造系ミステリのプロットを考えてわかりました。
世界構造系ミステリとは『何が謎なのかを推理する』という所に面白さがあるのです。


え? そんなこととっくの昔にわかってたって?
あーそうえば確かに誰かが言ってた気がしますね。


ただ、それだけのことだしね……
(みんな、ザ・サードを読もうね!)
 



追記
なんかいっぱいリンクされてる、前の記事。
ブログってすごいね。