法月綸太郎:ふたたび赤い悪夢 満点

※信者補正込み


この作品によって「後期クイーン問題に挑む者たち」の理想的な解答が示された。
後期クイーン問題を取り扱う作品を「解答」を目指すミステリへの挑戦作と、「出題」を描くことによる文学的な作品の二種類に分けたとき、この作品は「出題編」に区分される。
いわゆる社会派が文学とミステリをただ単に「事件を取り扱う」という形で接近させたのに対して*1、あくまで本格ミステリとして文学に近づいた。
論理とフェアプレイに基づいた新本格ミステリが、相反するはずの文学に限りなく近づいた、そんな記念碑的な作品。

*1:ミステリではなく事件小説と呼ぶべきではないのか?