貫井徳郎:神のふたつの貌 五点(五点満点)

小説としても、サスペンスとしても面白い。
小説の面白みをテーマ、サスペンスの面白みをサプライズとするなら、この作品はこの二つを上手く両立させている。
特に神というテーマを通じてキャラを立てることで、それを叙述トリックへの足がかりにするのは見事。
宗教、叙述と構成要素を見るとデビュー作と酷似しているが、結果だけを示した慟哭とは違いその思考過程を文章にした点で、この作品は「宗教」というテーマにおいて優れている。