歌野晶午:世界の終わり、あるいは始まり 四点(五点満点)

後期クイーン問題ないしは、名探偵の苦悩を明るく前向きに肯定した作品。
興味深いのが、フレーム問題に関わる展開が毒入りチョコレート事件のようでありながら、実際は何の証拠も根拠もないただの妄想に終始している。
その点が本格ミステリとしては難癖をつけたくなってしまう。
ただ、こうもストレートに希望がある先があると断定されると、ミステリの袋小路なんて最初から無かったように思えてしまうこの力は素晴らしい。