バンブーブレード(アニメ版)の良さと、ガンソードとかみちゅの良さの違いと、倉田脚本の軽めの考察

バンブーブレード(アニメ版)は、布石が明確に置いてある作品だと思う。
ミヤミヤの竹刀とか、 岩佐と外山とか、さらっと布石を打った上で
ちゃんとそれを回収してる、2クールの内前半は原作付きだったにも関わらず
最後のまとめかたで、その前半すらもアニメオリジナルに繋がるように変化した感じ。



それに対して、同じ倉田脚本の
かみちゅにしろガンソードにしろ大運動会(電撃文庫)らは
最後の一点
「ゆりえの告白」「ヴァンの敵討ち」「大運動会での活躍」という最大の目標が序盤から明示されているにも関わらず
それらはもう疑いようのない予定調和として、物語に組み込まれているせいか
そこに至るまでの布石が非常に薄かった……かもしれない。


というのも、ゆりえが神様として活躍することと、ゆりえの告白が成功することに、直接的な介入は存在していません。
もちろん、ゆりえが様々な事件を通して人間として神様として成長した結果、あのオーラスに至ったのは事実ですが
今までの事件を回想したり、そこから得た人脈によって、あのオーラスが成り立ったわけではありません。
(全校生徒から祝福される、というのは神様になったからこそ、ですがそれは告白成功の有無とは直接関係ない)


同じように、ヴァンも「敵討ち」という一本筋は、様々な事件を通して変化することはなく
その事件によって「敵討ち」が成功するか否かに直接的な影響を与えていません。
むしろあの旅のほとんどが寄り道無駄足だったと言っても、大げさではないでしょう。
エルドラ5やミズーギがいないことで、ヴァンが敵討ち成功後に死ぬことはあっても、敵討ち自体が成功するかはあまり変わらないのではないか?
もちろん、レイがいなければ失敗していたわけですが……
それは彼がヴァンと出会っていなくても、あまり変わらなかったのではないか?
つまり、ヴァンが旅で得た仲間がいようがいまいが、敵討ちはおそらく成功していたし
旅で得た仲間たちはおそらく、ヴァンがいなくてもカギ爪の男と戦っていただろう、ということです。
プリシラは例外かな


とまあ、倉田脚本においてオーラス一点に物語の要素が集約していくという魅力があるのは事実ですが
それは布石や伏線が回収されていくものではなくて
最初から一本大筋として背骨のように存在しているように感じます。


さて、ですがバンブーブレードは筋が一気に集約していきますし
TRAIN+TRAIN(漫画版)も同じです。
そこでこれらを、
一本筋型
筋集約型
として、ちょっと分類してみた。


未完結作品。
クロスオド、ハンドレッドR.O.D小説、トレトレ小説なんかはさすがに載せれません。


一本筋型
ガンソード        :上に書いたとおり
かみちゅ         :上に書いたとおり
大運動会(電撃文庫)   :成長していくのは事実ですが、それらが伏線や布石として機能しているとは言いがたい
サムライジ        :これほどまでに一直線なのも珍しい
R.O.D(漫画)       :読子さんの方。R.O.Dはどうしたって本が好きなんです、しか筋がないと思う。

 

筋集約型
バンブーブレード  :上に書いたとおり
TRAIN+TRAIN(漫画版):ものすごく綺麗にまとまっている、今までの事件や登場人物のほぼすべてがラストシーンに繋がっている
まりんとメラン   :物語のほぼ全てがラストシーンの最後の台詞のためだけにある、と言っても過言ではないぐらい無駄の少ない作品
R.O.D(TV)     :微妙なところだが「アニタが本を読む」という一点のために読子さんがいた、と解釈すればこちら。読子さんとねねねの恋愛物だと解釈すれば上。
R.O.D(漫画)    :三姉妹の方。「アニタも本好きの一人」という一点に他のエピソードが集約していく。



わかんない型:よくわからない作品
今、そこにいる僕     :これどうだろうなあ、もう一回そういう目線でみないとわからないや
エルハザード(徳間AM文庫):そもそも話の筋があったのかすら微妙だ
R.O.DOVA)       :一点二点する上に、物語がThe TVに続くため分類しにくい



エクセル・サーガ、MAICO、メリーメントは見たことないのでわかりません。
リーメントは買ったんだけど、いまだに読んでないや。


でまあ、別にこの分類から何を読み取ろうとか、何かすごいことがわかる、ってわけではなくて。
倉田さんって人は
「一本筋の通って、それ以外はただ突っ走ること」(ガンソ、サムライジ)から
「理屈だてて色んな道を通りつつ、最後にそれらを通ってきた理由を説明すること」(トレトレ)まで、色々な作風がある、かもしれない。
ということを、少しまとめてみたくなっただけです。