水車館の殺人：綾辻行人

大掛かりなトリックが見所の館シリーズ第二長編。
十角館は同じ時間軸で違う場所の二つの視点を描いていたのに対して、今作は違う時間軸で同じ場所の二つの視点を描いている。
トリック自体はオーソドックスな記述者を疑うものだけれど、それぞれの記述者が違うというトリックをそこに重ねたのは読んだ当時は相当驚いた。
ただ、どうしても叙述トリック一本背負いで小説的魅力や、ミステリのほかの要素（トリックやロジックやプロット）を味わえないのが残念。次の迷路館や二つ先の時計館などと比べるとどうしても、劣って見える。