告白:湊かなえ

ミステリがどうのこうの、というお馴染みの文脈を使いたくないぐらい、真っ当な長編小説。
ホワイダニットが視点人物が入れ替わることで、見え方が変わってくる。確かに、この構成はミステリ的である。
だけれども、こういう複数の”人”に焦点を当てて何度も転がすのは、ミステリというよりフェアプレイの精神を持った小説だと感じた。フェアプレイとは結論に至るまでの、議論の量であり。この作品は、オーラスまでに様々な題目の議論を重ねており、非常にフェアである。
この、それぞれがあくまで、一人で告白*1しているだけなのに、結果として議論になり、オーラスに納得がいく。
ミステリかミステリでないかで言えば、ミステリに分類するのだろうが。小説の面白さが際立った名作。

*1:独白