ミハスの落日:貫井徳郎

海外が舞台という共通点はあるものの、様々なネタを扱った短編ミステリ集。
後期クイーン問題を扱った、というミハスの落日。98年という10年前の作品だけあって、後期クイーン問題の取り扱い方も、若干の古さを感じる。*1
個人的には後期クイーン問題はSF的ガジェット*2を導入するよりも、小説として処理して欲しいので非常に満足できた。
ベストは大好きな家族愛物のサンフランシスコの深い闇。依存しあったまま終わる二人の関係は、ある意味ハッピーエンドにも読めて苦しかった。さすが貫井徳郎! と唸らせられる作品ばかりだった。

*1:ふたたび赤い悪夢(92年)と名探偵に薔薇を(98年)のミッシングリンクを埋める作品かもしれない。とか書くとそれっぽい?

*2:西澤保彦の完全無欠の名探偵。殊能将之黒い仏