てるてるあした:加納朋子

日常の謎物ミステリでもあって前作とは打って変わって、直球ど真ん中の短編連作小説。
幾度と無く書いてきているが、ボクは本当に家族物に弱い。その中でも今作は、限りなく満点に近いぐらいの大満足だった。
父息子物の最高峰が貫井徳郎の追憶のかけらなら、母娘物の最高峰がこの「てるてるあした」だ。
ただ、オーラスでの読書に対する言葉は、どうも文量の積み重ねがなく肩透かし。かの読子リードマンですら「人よりちょっと本を読んできた」なんだから、作中で読書シーンがないお婆さんに言われても、特に何も感じなかった。
というわけで、読子リードマンの「すべての人が平等であるように、すべての本も平等です。」 この言葉を登場人物たちには送りたい。もちろん、何か嫌なことがあったときに本に逃げるのもいいですが、うれしいことも本は共有してくれると思います。