闇の喇叭:有栖川有栖 二点(五点満点)

有栖川有栖の新シリーズ第一作となる、現在とは有り様が違う日本を描く長編社会派?ミステリ。トリック自体は、ベタな物理トリックで評価がしずらい上、もう一つの人物誤認のトリックに関しても今ひとつ面白みがない。
なので、本格の文脈よりも社会派の文脈で読み取った方が面白みが見いだせそうな作品。
とはいえ、その方向で読み取ろう思って最初から有栖川有栖を読める人間がこの世にいるかどうかは微妙。第二作目を読んだあと、もう一度読んで設定の意味(探偵の否定は、アンチミステリの文脈?みたいなあたり)を考えたい。
緊張感が張りつめた日本という設定自体を利用した、トリックみたいなものを期待して読んだだけにがっかり感が大きいので、評価も低めで。