紙魚家崩壊 九つの謎:北村薫

ミステリからホラーから小説まで幅広いジャンルをカバーする短編集。
ミステリ読みとしては、アンチミステリの極みとも言える「死と密室」、ちょっとしたパズラーの趣がある「おにぎり、ぎりぎり」あたりが良かった。
ベストは最長であり、唯一の本格ミステリである「新釈おとぎばなし」。カチカチ山の新解釈という発想といい、それをミステリに仕立てているところといい短編集の中でも秀逸の出来だ。
ただ、どれも所謂奇妙な味を前面に押し出している作風で、本格好きな自分にとっては正直乗り切れなかった。