ジェシカが駆け抜けた七年間について:歌野晶午

小説家であり、本格ミステリ作家である歌野晶午の長編ミステリ。
ミステリ的には、最後の一撃にのみ焦点を当てた、サプライズ重視の作品。小説的には、まさにタイトル通りの内容で、ランナーの悲哀みたいなものが感じられて面白い。
葉桜や春から夏、やがて冬のようなサプライズ重視だけでなく、密室殺人ゲームシリーズのような議論重視のロジックミステリも書く歌野晶午であるが、この作品を読むと小説としてもなかなかどうして素晴らしい。
本格としては、アンフェアもいいところなので評価しづらいが、小説として良い出来なので満足度は高め。