壺中の天国:倉知淳

ホワイダニットに完全に焦点を当てた、本格長編ミステリ。
本格、と書いたのは、この作品が本格ミステリ大賞を受賞してからつけただけで、僕個人としては本格というよりは、犯罪を通じて社会の在り方を問うくだりが多く、社会派な作風だと感じた。
ミステリとしては、フーダニット部分のロジックが多少面白かった程度で、面白味が少なかった。かといって、小説部分のシングルマザーの日常や、町内のほのぼのとしたくだりなどにも面白味を感じられなかった。
全体的に満足度は低め、倉知淳の長編はサプライズよりの作品が多かったため、そこを期待してしまった読み方が悪かったのかもしれない。