東川篤哉”学ばない探偵たちの学園”考察「ギャグとミステリ」

起:このブログの売り「文章量も大切である」

まずそもそも、チョイスが間違っているだろ?
というツッコミが多々あるのを推測しながらも、ようやく二発目のレビューである。
このサイトの売りを全く生かせそうにない作家の本を、よりにもよって、リアルタイム考察のときに読むのはどうだろう?
と、確かに僕も思う。


だがしかし、そうは言うものの、読んでしまったのだから仕方ないではないか!
というわけで、ない頭を絞って、強引ながらもレビューを書いていこう。

ここまでは、文字数稼ぎである

承:ミステリの読みどころ「好みは人それぞれだよね」

事件は『解決』したが、まだ『完結』していない

 東川篤哉”学ばない探偵たちの学園”P258より引用


ミステリの読みどころ、はどこだろう?
そもそも、ミステリほど、形式化されたジャンルも少ないと思うのだが、話を続けたい。


ミステリの起承転結を判りやすく短絡的にあらわすと


起:探偵および登場人物の紹介 
  事件発生
承:聞き込み 討論
転:名探偵 皆を集めて さてと言い
結:後日談


こんな物だと思う。
さて、ミステリを小分けしたジャンルの好き好きにもよるだろうが、どこが一番面白いところだろう?


ライトミステリ、というかキャラ萌えの人ならば
キャラがどたばたやる、起が好きだろう。


社会派、というかリアリニズムだとかいう現実を現実として受け止められる立派な人ならば
キャラが地道な捜査を行う、承が好きだろう。


本格、というか論理による事件の解決やトリックを好む人ならば
論理のアクロバットが見られる、転が好きだろう。


物語、というかテーマを読み解きたい人ならば
作中の結論が、作者の言いたいことが見えてくる、結が好きだろう。


では、学ばない探偵たちの学園における読みどころは、どこになるだろう?
キャラが立ちはじめる、起だろうか?
よりキャラが暴走しはじめる、承だろうか?
意外(?)な犯人やトリックがわかる、転だろうか?
ミステリ論が語られる、結だろうか?


それとも、この作品の魅力、読みどころは、作品を通じて貫かれるギャグであり
読みどころ、などという山や谷は存在しない、と言う意見もあるだろう。

やっぱり、ここまでも文字数稼ぎである

転:ギャグとミステリ「オチの大切さ」

この、ぬくぬくした雰囲気が東川の魅力である。


と一蹴するのは、簡単だろう。
「キャベツ入れ忘れてます」には笑ったし、いいオチだとも思う。
だがしかし、本当にそれだけなのだろうか?


事件は『解決』したが、まだ『完結』していない


という、作中の台詞は、東川作品がギャグに寄っているある理由を、示唆しているようにも見える。


それは「オチ」の必要性である。
前述した、ミステリの読みどころリストで、どれだけの作家が最後の結に力を入れているだろう?
言葉を言い換えるなら、物語を書こうとしているだろうか?


もちろん、ミステリは物語の皮を被ったパズルである、という意見を鵜呑みにしてもいい。
それはそれで正しい意見である。


だが、前回のだらよレビューで言ったように、物語とミステリは決して水と油ではないのだ。
ミステリの要素を使ってこそ、栄える物語もあるはずだ。

その一つにギャグがある。

結:ギャグミステリ「予測されるオチ」

そもそも、ミステリほど落としやすい作品はない。
徹底的に形式化された物語だからだ。


パズル部分さえ、つまりミステリの核となる事件の解決さえ、しっかり出来ていれば、あとはオチを考える必要もなく展開できる。
ところが、そこにギャグの要素、すなわち絶対に必要な「オチ」の要素を加えることで、本来、だらだらとした雰囲気になりがちなミステリに、一本の味がびしっと通るのではないだろうか。


ミステリを読むにあたって、確かに膝を打つような解決はよく目にする。
しかし、これほどまでにミステリが長い歴史を持ってしまうと
「膝を打つような快感」すら、予測できてしまう。


つまり、普通のミステリのオチは、もう大部分の人がよめてしまうのだ
そう「事件が解決される」というオチが。


だけれども、ギャグの魅力は「オチがよめる」事と特に関係はない。
むしろ、オチがよめてこそ面白い、お約束ギャグ、なんていうのもある。


本来ミステリは、読者の想像の外に行かなければいけない。
しかし、そこにギャグの要素を取り込むことで、読者により近づくことが出来るのだ。

東川作品は冗長なのではなく、逆に事件解決というミステリ的なオチと、笑いを引き起こすラストのオチという、二段構えのオチを兼ね備えた、一本筋の通った作品である。

余談

こんどは、三時間も開きましたね。
大体、二時間で読んで一時間で書きました。
これからも、こんなペースなのかどうかは、これから先の話ですね。


それにしても、本当に見てる人が一切いなさそうな企画です。
まあ、別にいいんですけどね。


さて次は、何を読みましょう。
あっ、もし、見てる人がいてかつ
書いて欲しいレビューがあったら、コメント欄にでも書いてください。
その作品をやってたら、それを優先して書きますね。


とは言うものの、結構やってないのに書いてるレビューもあるので、気にせずどんどん書いてください。



……予測しておきますが、おそらく誰も書き込まない!
はずれたら、12時間に分割するの止めて、24時間更新一気に行きますね。


内輪向けに一言、先に言っておきます、I/Oはまだです。
なんていうの、ビッグネームすぎて、触りづらい。