心理捜査:山本ひろし 四点

二章のために一章があり、三章のために二章がある、三つの視点から描かれる長編倒叙?ミステリ。
一つの事件を三つの視点で追うのではなく、一章では第一の事件を、二章では第一の事件の謎解きと
第二の事件、三章では第二の事件の謎解き、といった問題編と解決編のリレーになっていて、その構成自体がミスリードになっている点が面白い。
難点をあげると、作品全体を通じてみると、統一感に欠けるためか小説的魅力を理解できなかった。
けれどもその小説的魅力の欠如を補うほどに、小説の構造自体がミスリードになっているトリックは面白く、点数は高めにつけた。