2007-01-01から1年間の記事一覧

乱歩賞作家を指すときに使われる社会派と一般的な意味合いの社会派は少し違う気がする

今日話題に出した北森は乱歩賞的な意味合いの社会派(の要素も兼ね備えている 古処とかもそんな感じ。 同じメフィスト賞作家でも逆に日明恩は一般的な意味の社会派だと思う。 でも、桐野夏生は乱歩賞作家だけど、一般的な意味合いの社会派であって、乱歩賞作…

北森鴻:触身仏 四点(五点満点)

民俗学的な謎と現実の事件とを上手く関連付けそれらを本格のノリで解決する、異色*1の本格ミステリシリーズの第二段。 前回はこの紹介通りの内容だったが、二作目である今作は狂言回しであったはずの名探偵やワトスンを事件に組み込んだ作品もいくつかある。…

矢野龍王:時限絶命マンション 二点(五点満点)

サスペンスっぽいノリのゲームを題材にしている作品。 独自設定のゲームを持ち出し、その中で知略をめぐらせる類の小説かと思いきや、オーソドックスなサスペンス調の展開が続く。 特に小説的魅力やミステリ的魅力があるわけでもなく、ましてや読んでいるだ…

歌野晶午:世界の終わり、あるいは始まり 四点(五点満点)

後期クイーン問題ないしは、名探偵の苦悩を明るく前向きに肯定した作品。 興味深いのが、フレーム問題に関わる展開が毒入りチョコレート事件のようでありながら、実際は何の証拠も根拠もないただの妄想に終始している。 その点が本格ミステリとしては難癖を…

秦建日子:推理小説 二点(五点満点)

定番を崩したという定番の新本格、というかメフィスト的な作品。 アンフェアに対しての記述も後期クイーン問題というよりは、ただの愚痴にしか思えなかった。 ミステリファンは確かに合理性やトリックよりロジックを求めるけれど、それはあくまで「謎解き」…

泡坂妻夫:亜愛一郎の逃亡 五点(五点満点)

アクロバティックな論理展開が見事なシリーズ最終作。 この作品の魅力はもちろん、徹頭徹尾一貫した地べたを這うような論理展開にある。 あるのだが、シリーズ最終作だけあって、小説としても面白い。 特に小説的魅力やテーマなどが描かれていない、ただの記…

思ってることを垂れ流す

○漫画脳 おちよしひこ作品でベスト5を選ぶなら SBM>ダビスタ>ロードス>わらし>海の人 だったんだけど、最近イクドラシクの面白さに気が付いた。 のはいいけど、ゼファー売ってない! 氏家ト全最萌えは初期ショーコ、これは譲れない。 今月はももせたまみ…

上田志岐:ぐるぐる渦巻きの名探偵2 逆しまの塔とメイ探偵 三点(五点満点)

メタミステリと世界系をミックスしたラノベ調ミステリシリーズ第二段。 トリックなどのミステリ的魅力は、いたって普通で特に面白いものではない。*1 魅力はキャラ設定と絡めた軽めの後期クイーン問題絡みの話題。 ありがちな設定であるし、問題提起だけで解…

井上夢人:風が吹いたら桶屋がもうかる 三点(五点満点)

超能力SFミステリ、ではなくオーソドックスな安楽椅子探偵短編集。 超能力を扱っておきながら、謎解きが地味でしつこい*1論理展開なのが面白い。 小説的な広がりには薄く、判を押したようなおなじみの展開は縛りとしては面白いが、小説としてはどうだろう。 …

ゆうきまさみを考える上での作品系譜的な物

年代はかなりざっぱです。 単行本にまとまってない読みきりはブラック・マジックKNIGHT以外載せていません、というか知りません。 ○絵日記漫画(ギャグ) パロ漫画:80〜 ↓ 気まぐれデイウォッチ:84 風潮:84 CONTACT:84 最強のトクサツ:85 ↓ あ〜る:85…

谺健二:恋霊館事件 四点(五点満点)

震災をテーマにしたシリーズ二作目。 一作目とは少し違い、震災のその後をメインに扱っている。 だけれども、やっていることやテーマ的には何一つ変わっておらず、シリーズとして一貫している。 短編連作と銘打っているが、中篇の問題編と解決編の間に短編を…

佐竹彬:開かれた密室 一点(五点満点)

SFミステリのシリーズ第三作。 トリックがお粗末すぎる、前回までのように独自設定を使った上で、なお不可能状況だからこそSFミステリが成り立つわけであって、これじゃあただの「独自の凶器」を示した犯罪小説で、ミステリじゃない。 シリーズ的にもテーマ…

ぐるぐる渦巻き感想のどうでもいい注釈

メイは萌える。 あと次のシリーズの外見幼女もあり。 本気でどうでもいいな。

上田志岐:ぐるぐる渦巻きの名探偵 三点(五点満点)

富士見ミステリ文庫らしい、萌えとミステリの合わせ技。 メタミステリ的な設定もキャラ設定と直結させており、キャラ造詣に関しては上手いと思う。 だが、それらの設定が萌え路線の方に繋がっており、ミステリ的な魅力は動機一本のみで魅力に欠ける。 この先…

おちよしひこのダビスタ外伝を久しぶりに再読

押入れを整理していて発掘。 漫画の類を大量にしまっていたのを忘れていました。 高校生ぶりぐらいに読み直したんですが、面白いですよねえ、これ。 マリエリ、イクドラ、SBM、ロードス、あじす名義しか読んでないので その他の作品はわからないのですが、読…

ジャンプスクエアのTISTAが面白い!

エンバーミングしか読む物ないし立ち読みですまそうと思ったんだけど 読み終わった後レジまで持って行ったよ。 もちろん二話以降次第だけど、単行本買うことも視野に入れて、スクエア自体を購読しようかなあ。

今邑彩:ブラディ・ローズ(三点:五点満点)

日記を追う形で展開するサスペンス。 サスペンスともホラーとも取れる中盤の展開は、平凡で取り立てて面白いものではない。 しかし、終盤の伏線回収からドンデン返しの連続は、まさに新本格である。 特に操り操られの関係性が面白く、操り物の秀作。

長靴をはいたデコは本格以外の何物でもない!

引力=淫力 ってネタが長靴をはいたデコであったけど、元ネタはコメットさん※のパンチラウィッチだろうか? と思って大槻(エロゲライターの方)のサイトに行ってみると リンクにホワホワが!! で、肝心の長靴をはいたデコだけど このミスとか本ミスの対象…

鮎川哲也:モーツァルトの子守歌 五点(五点満点)

安楽椅子探偵物の短編集。 シリーズ第一集の頃と比べると、小説やサスペンスの部分が剃り落とされており、より鮮麗されたミステリになっている。 特に短編でありながら推理クイズではなく、あくまでミステリとしての体裁を保っていられるのは、トリックより…

黒田研二:ペルソナ探偵 四点(五点満点)

短編連作としても短編としても読み応えのある作品。 特に一作目の電気のスイッチを巡る法月ばりの地を這う理詰めが素晴らしい。 そのような、地味な論理だけでなく、最終章から始まるサプライズの連続も見事。 サプライズ一発勝負な作品とは一線を画す、本格…

横山秀夫:囚人のジレンマ(「第三の時効」収録) 五点(五点満点)

警察を舞台にした本格ミステリ。 社会派としての側面もあるかもしれないが、むしろ個人的な感情*1を描いた小説。 特に今作は法月綸太郎がふたたび赤い悪夢で指摘した「砂漠」に関する描写が秀逸。 小説的なテーマとしての後期クイーン問題との関連を考えるこ…

芦原すなお:雪のマズルカ 三点(五点満点)

女探偵ハードボイルド物。 死別した夫婦という設定を「月夜の晩に火事がいて」から引き継いでおり、小説として読み比べておきたい。 謎解きの論理や謎解きの過程(サスペンス)などではなく、一種のキャラクター小説として評価した。 テーマ面は苦々しくやる…

学生有栖読み返し週間にしよう

さすがに今年発売の作品を一つも読まないまま終わるのもどうかと思いたつ。 女王国を買ってきたのですが、いきなり読み始めるのはもったいないから、学生シリーズ読み返すことに。 ゆっくりちゃんと、読者への挑戦状にも答えるぐらいの勢いで読もう。 今年発…

佐竹彬:三辺は祝祭的色彩 二点(五点満点)

SFミステリのシリーズ第二作目。*1 ミスリードがよく効いていているが、ポエミィな文体のせいで叙述なのかミスリードに引っかかったのか、それともただ単に読み込みが足りなかったのかがわかりにくい。 肝心のミステリは前回同様シンプルな出来で好感が持て…

浦賀和宏:記憶の果て 三点(五点満点)

SF設定を使ったメフィスト賞らしい作品。 作品単体としては青春ミステリとしての出来もよく、面白い。 だが、作品単体としてでなく長いシリーズ作品の始まりとして評価したい。 後のシリーズに連なる設定を、単体の作品としての意味を見失わない程度にちりば…

泡坂妻夫:11枚のトランプ 五点(五点満点)

作中作物の定番。 メタや叙述などを使わなくても、作中作がミステリの題材に出来ることがよくわかる作品。 あくまで、王道な地に足をついた本格ミステリである。 作中作自体も短編として成り立っており、作中作物として必要なものが全部揃っている。

内村かなめの「もっと!委員長」の単行本の発売決定だってさ

あーテンションがあがってきた。 好きな作品が単行本になると、雑誌を一年以上買ってきたかいがあるってもんですね。 思わず一迅社にお布施がてらパトレイバーの資料集を買ってしまうぐらい、テンションがあがってます。 (ゆうきまさみもパトレイバーも好き…

佐竹彬:飾られた記号―The Last Object 一点(五点満点)

ラノベ調SFミステリ。 ミステリとしてアンフェアだとは思わないし、森博嗣をオマージュしたとあとがきで語っている文体も悪くはない。 だからといって、小説として何の起伏もない展開や、論理のアクロバティックも何一つなく、かといって有栖川や法月ばりの…

森博嗣:四季 秋 五点(五点満点)

シリーズミステリの最高傑作。 厳密には赤緑黒白で判明する、SMシリーズVシリーズを通しての叙述トリックは圧巻。 Vシリーズ単発での評価を吹き飛ばす作品。 森博嗣はこの作品までは読んでおきたい。

うつだしのう

ってフレーズを一回口に出すと、ますます落ち込む。 落ち込みついでにそれこそ死にたくなってくるわけだけど。 なんていうか、ぬるく生きてていいのかなあ、とか思う。 このブログで書評書いて、時々エロギャルゲの考察書いて、たまにブクマされて少しアクセ…