2010-01-01から1年間の記事一覧
お馴染み鯨ミステリ短編集。 鯨統一郎という作家の魅力はたっぷりつまっている。無駄知識に、既存の事実の新解釈、そして意外な真実。 特に花咲爺の真相は、シリーズであることがミスリードになっていてミステリとしても完成度が高い。 ただ、その鯨統一郎の…
ジャズを題材にした日常の謎の短編ミステリ集。 ミステリとしての完成度は、オチばかりでロジックや過程に欠けており、本格度は薄い。けれど、意外な真実が多く、単なる知識トリックだけで終わるような駄作ではない。 この小説の決め手は、やっぱりなんと言…
ミステリがどうのこうの、というお馴染みの文脈を使いたくないぐらい、真っ当な長編小説。 ホワイダニットが視点人物が入れ替わることで、見え方が変わってくる。確かに、この構成はミステリ的である。 だけれども、こういう複数の”人”に焦点を当てて何度も…
海外が舞台という共通点はあるものの、様々なネタを扱った短編ミステリ集。 後期クイーン問題を扱った、というミハスの落日。98年という10年前の作品だけあって、後期クイーン問題の取り扱い方も、若干の古さを感じる。*1 個人的には後期クイーン問題はSF…
どうして犬が走り出したのか? というホアワイダニットに焦点をおいた青春ミステリ長編。ではなく、普通の青春長編小説。 これをミステリと評するのはさすがに難しい。「話し合おう」といっておきながら、過去の回想ばかりでまったく議論をしない点や、読者…
刑事物なのに日常の謎を扱った変わったミステリ短編集。 ミステリとしては日常の謎物にしては、小説に逃げておらず好印象。特に「田舎の刑事の危機とリベンジ」は物理トリック一本ではあるものの、伏線が効いていて中々。 また、キャラクタ小説としては一線…
日常の謎寄りの本格ミステリ短編集。 「事件簿1」という、シリーズ化を前提にしているかのようなタイトルが、ミスリードに使われているってのが斬新に感じられた。 それにしても、同性愛のストーリーだと思わせておいて、異性愛だったって展開はミステリとし…
本格ミステリ長編。普段は一行目にもっと細かいジャンルを書くんだけど、これはもうまさに「本格ミステリ」としか形容のしようがない。ロジックの丁寧さ、特に一作目に欠けていた議論の深みは物凄く高いレベルでまとまっているし、その議論も文量が大目で大…
四月から社会人をはじめました。 更新は不定期な飛び石になりそうです。 元々、それほど定期的に更新していませんが。というわけで雑談です。 ○ミステリ 今読んでるのは、乾くるみのカラット探偵事務所の事件簿。 キャラクタがやおいっぽいけど、意外と真っ…
ミステリではなくまっとうな短編連作小説。ベストはドミノ倒しな伏線回収が面白かった演劇のオール。 人類が終末を迎えるというテーマの日常物は幾つか類例があるが、個人的には終末の過ごし方をオススメしておきたい。あっそうえば蠅声の王2を結局崩せない…
ミステリよりは大きく小説に偏った、長編小説。新興宗教を題材にしており、宗教を題材にした傑作「神のふたつの貌」とも関連付けて考えさせられる作品。 名探偵という人が人を救うガジェットを持つ本格ミステリ*1をバッサリと切り捨てるように、人が人を救う…
いわゆる毒入りチョコレート事件物の長編ミステリ。西澤保彦ミステリ最大の魅力は、徹底した議論にある。タック&タカチしかり、チョーモンインしかり、単発SFしかり。 その議論だけで構成されたミステリが面白くないわけがない! と意気込んで読んだのだが…
二階堂くろけんの合作シリーズ第三長編となる、本格ミステリ。前作までのロジックにもサプライズにも寄った構成ではなく、完全にサプライズ一辺倒。 肝心のサプライズに関しても、どうしても森博嗣や石崎幸二らの似たようなトリックと比べると一歩劣る感があ…
二階堂くろけんの合作シリーズ第一長編となる、本格ミステリ。数年前に二巻を二巻だと知らずに読んでいたので、犯人は大凡想像できてしまった。 とはいえ、フーダニットが主題ではないので、非常に楽しめた。特に叙述トリックだとミスリードさせるというトリ…
ミステリではなくて、小説の短編集。いちばん初めにあった海以来の、ミステリ要素無しの加納朋子小説が味わえる。 家族愛を描いた作品が多く、ポトスの樹やパズルの中の犬は家族愛ってだけで涙する僕には、もう感動を通り越して拍手しながら読み終えた。 ベ…
物語自体に仕掛けがある、ミステリ連作短編集。本格というよりは変格やメタミステリより。 連作短編集としての仕掛けに関しては評価のしようがない。このトリックのために、他の短編の出来が悪くても良いわけではないし。そもそも、トリックとしてただの作中…
ずいぶんと間があいてしまった。 理由は「おつかい51」に二ヶ月以上かかってしまったからだ。 本当に051は難易度の高い問題だった…… というわけで、再開。 再開にともない、攻略wikiや攻略動画が充実しているので 解法を載せるのはやめることにする。書くの…
※フォントが非常に読み辛いため、間違いがあります。読み方がわかる方がいれば、コメント欄にお願いします。 ※特に”※”がついてる方のお名前は間違っている可能性が高いです。 ※シレン4 スタッフロール http://www.nicovideo.jp/watch/sm9917447 より文字起こ…
本屋を舞台にした短編集。ミステリよりキャラクタ小説によった構成が見所。 知識トリックや意外な真実ばかりで、本格要素が薄かったこともあり、よりいっそうキャラクタ小説として読めた。 ミステリ界に百合展開は数あれど、ハッピーエンドを迎えた作品は非…
池袋を舞台にした青春小説の短編集。裏表紙の解説にはミステリ、とあるがどちらかと言えばサスペンスに近い。 意外な犯人物と言えなくもないが、やっぱりサスペンスというかクライムノベルっぽい、疾走感が魅力。 たまたま「俺たちに翼はない」の三編目をプ…
二転三転、というよりは七転八倒な感じの長編サスペンス。思わず「いいから人の話きけよ!」とか「いやだから、どっちも証拠ないだろ!?」とツッコミたくなるぐらい、議論が議論になっていなかった。 ここ最近「本格度合いとは議論の量の多寡である」みたい…
代わる代わるさまざまな犯罪を扱う、ミステリ短編集。徹底してミステリ要素をこれでもかと詰め込んでいるのが印象的。 短いページ数の中で、二転三転四転ぐらいしちゃう真相の転がし方のせいで、物凄いボリューム感がある。 バカミス寄りの展開も多く、濃厚…
落語を題材にした長編ミステリ。見立てに意外な犯人にとミステリ要素は多いものの、あまりに小説に寄りすぎている。 分類としてはフーダニットを重視してるのだとは思うけれど、今ひとつ本格らしさに欠けていて、サスペンスや小説の方を強く感じる。 前作の…
キャラクタ小説のようでいて、しっかりと本格の文法にそっている長編本格ミステリ。 作中で揶揄されている物理トリックも、トリック自体はベタであるものの、探偵の解法や二段仕掛けのトリック、伏線のさりげなさを考えれば、クオリティは十分高い。 ただ、…
良い意味でも悪い意味でもバカミスっぽい、長編ミステリ。 丁寧な伏線や、密室トリックと独自設定が結びついた解明へのロジックなど、本格らしさが面白い。 それ以上にタイトルである「霧の迷宮から君を救い出すために」のアンサーがすばらしく小説している。…
これでようやく、ANOS6のレビューが書ける! だってあれどう考えても、ANOS1やってないと書けないよ! というわけで、二年ぶりぐらいにANOSカテゴリのレビューやらなにやらを書いていこうと思います。
ホームランドの説明書より引用しました。 ディレクター まるた こうじ シナリオ いなば ひろたか たなか えみこ かとうまさと ひの たかし イラストデザイン ありさわ よしひろ おんがく まつお はやと プログラム ふくざわ ただし おおまつ しょうじ おおの…
チュンソフト原作のゲームのノベライズ。原作に少し手を加えて、すっきりさせた印象。 原作は大掛かりな叙述トリックに加えて、多くの謎が残る展開だったが、小説版では必要最低限のガジェットでまとめられてる。 そのせいで、ミステリ要素と呼べるものがフ…
チュンソフトの428を原作とした後日談CANAAN、のノベライズ。という何だかヤヤコシイ位置にいる作品。 アニメ版CANAANで言葉足らずだった『「428」と「CANAAN」でマリアはどう変化したのか?』というのが、地の文でしっかりと描写されており、428の主役はマ…
風来のシレンSFCとGB1を題材にした、4コママンガ集。 チュンソフト関連書籍ではお馴染みのしりあがり寿さんから、今では売れっ子のあずまきよひこさんやら、色々な人が参加しているアンソロージー。 中でも注目したいのが、トリック×ロジックに参加する綾辻…